かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

『香港少年燃ゆ』了。

やっと読破。最後はわりとあやふやだった。結局著者が「捕まった」デモ参加者はわりと普通ではないこともそうだが、全体的にデモに関わる内容はそれほど多くなかった。例えば少年がデモで「活躍」した時期は一緒ではなかった事が多く、逆に少年の親中的な母親を口説く内容が若干多い。とはいえ、わけわからない日本人が突然現れて、しつこく少年のことを聞くのを考えるとこれも無理もない。

 

この本は結局、デモ主体ではなく、一人のデモ参加者のプライベート日記というほうがしっかり来る。

 

まあ少年の動機はかなり違和感を覚えるが、「武勇派」はほとんど少年少女だから、理性よりも感情を優先することも仕方ないだろう。少年が逮捕されたきっかけ理工大学の戦いのことだが、実は民主デモに支持する僕でも、なぜあそこで戦わなければならないか、未だに理解できない。理工大学は守りにくい場所、武器も原始的なものしかできない以上、あそこに籠城するのは愚策だった(ゲームのこともだが、理工大学の戦いにおいて、民主派の「勝利条件」とはなんだろう、と何度も考えたが答えが出ない)。直前の中文大学の戦い(中文大学は母校なのでよく分かる)では、山や森が多いから、ゲリラ戦には最適であり、だから警察は撤退したんだろう。

 

さて、香港デモに関して知識よりも、デモの中で香港の人がどう生きていくか、そういうとこを描く本であり、この本を読むには、ある程度香港デモの知識を積むことがおすすめです(やはり藤本欣也氏『香港人は本当に敗れたのか』がおすすめです)。結局、その少年と彼の家族が主体なので、香港デモの事件や全体像は書かれていない。全体像をある程度掴んで、そしてこの本を読むと、違う一面が見えてくるだろう。

 

最後まで少年の本心を聞くことができないが、最後の部分の人生失敗の口喧嘩は、個人的に割りと好きです。