かりんちゃんの随心日誌

随筆、旅の話、ゲームの話、香港の話、言いたい放題

『香港少年燃ゆ』半分まで

以前購入した『香港少年燃ゆ』。半分まで読破しました(『新・平家物語』のほうを優先しているので、一週間で半分は上々だろ…)。

 

本を読むと、香港の風景は脳内に蘇りつつ、所々に違和感。たぶん、本の少年は、いわゆる「新移民」(1997返還後香港に定住した、元内陸の家族)系なので、同じ「香港人」であっても、自分とは違う世界の人間だからだろう。もっとも、「武勇派」は十代がメインで、いわゆる仕事してない、家族の負担がない世代。そういう世代が違うことも、違和感の正体かもしれない。

ただ、簡単に知らない日本人を信用する点、この少年も危機意識が足りてないな(とはいえ、あの頃はデモ参加者であれば妙に一体感が生まれるから、政府側の人間でなければ知らない人だろうと「味方」と考える人も多い。あれは確かに不可抗力があった、周りは全員誰なのかわからないけど、敵ではない信用できる味方という意識が妙に強かった)。しかも欲しい物何もかもその日本人に買わせる点、正直自分には想像できない光景だった。この少年の心理はちょっとわからん(しかもタバコ吸ってるし、15歳なのに酒飲むしAV見ているし、学校行ってないし、どういう生活なのだ…)。

 

日本人はどのように考えているかこの本を読んで少し納得しつつ、本の書いているように、「平和のやり方」では何度も無視され、香港市民よりも、共産党の意向を優先する当時の政権(今でもそう)に対し、より攻撃的なやり方もやむを得ないです。いわゆる返還後、中国共産党や香港政府に対する恨みが長年に蓄積され、爆発したという感じです。日本では民主制度が優れているからそんなことは想像できないことだろう。

 

本では説明不足の部分もある。おそらく読者はある程度香港デモの状況を理解すると想定しているだろうか?でも香港はどんな場所まで説明されるし、そこもちょっと違うような。例えば、地下鉄に対する恨みはあまり説明されてなかった。いわゆるデモが過激化の起爆点である、721や831を少し解説するほうが良かろう(警察や地下鉄などの親中企業をそこまで増悪する理由)。

 

一点だけ、すごく納得する部分があります。少年の母親です。この母親の登場で妙に懐かしい、と思えば僕の母さんとそっくりだった…。まあ、「典型的な」香港の母親です。政治に冷感や無関心(「政治に興味ないから関わらないで」みたいな親が多いです)、子供の安全を何よりも優先。僕もデモや集会に参加した際、親から「馬鹿だな」「何ができるんだ」「時間の無駄」とかよく言われた。もちろん民主に熱心する人もいるが(母さんの親族に一人のおじさんが毎回もデモ参加してた)、年をとると政治に鈍感する人が非常的に多いです。中でも「デモで俺の仕事を邪魔するな」という「社畜」もたくさんいます。

なので、この少年の母親は特に違和感なかった。