かりんちゃんの随心日誌

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香港民主運動の悲劇

最近の香港の状況では良いこと全くなし。一つは逮捕された民主派に裏切り者が増えてきた、もう一つは逮捕されたが、病気で保釈を許された何俊仁氏が裏切り者(=趙家賢氏)の告発により再度逮捕された。

何俊仁氏は襲われても、今までずっと中国や香港の民主運動のために頑張ってきた政治家ではある。しかし、どういうわけか裏切り者の家族に接触してしまい、それで裏切り者趙家賢氏の告発を喰らった。

 

香港ではそれなり話題となるため、様々な議論もなされた。好きなコラムニストからは、「香港の民主派」は甘すぎると断言した。何俊仁氏はおそらく素直に忠告しただけだろうけど、その率直な性格では、中国共産党やいまの香港社会では命取りという。これまで、「香港の民主派」はずっと中国の民主の夢を見た、そして「利用価値があるから中国共産党は香港を潰すわけがない」「香港を発展し、時間をかけて成果で説得すれば中国もいずれは民主化できる」「一国二制度では民主化が約束されたから」とか、甘い夢を見ました。だから彼らは毎年天安門事件も記念活動を開催し、中国の民主活動に貢献した、自分がやっていることは中国のためだとずっと思いこんでいる。

しかし、彼らは最初から間違っている、中国共産党は欧米のような、議論すれば折れる、納得する者ではない。これまで中国の歴史を見ればわかる、中国の政治は残酷で非情、親や家族ですら売り出し、政治の道具として利用するのが常である。


おそらく、香港の民主運動の失敗は、欧米の教育のせいでもあるだろう。欧米では論理的だろうと話し合いだろうと、例えばインドのガンディーのように「非暴力、不服従」をすれば政府はいずれは折れると夢を見ました。しかし中国人はイギリス人ではない、政治の前ではケダモノである、欧米のような理性的な生き物ではない。「やるかやられるか」が中国の政治、いや、おそらくアジアの政治。東南アジアでも、例えばミャンマーでもそうだった。

独裁者は、力以外で折れることはない。鎌倉殿の13人のように、正直者畠山重忠は結局敗れ去った、頭が単純な和田義盛も結局誅殺された。中国は最初から今でも、巨大な「鎌倉」であった。

いや、時宗を見た感じ、鎌倉すら甘いか。だって鎌倉の武士は蒙古軍に対して正々堂々と勝負すると挑んた。

 

自分は正直者、だから自分は政治の道には歩まない。真っ直ぐな人に政治家は向けない。嘘できない人だから、非情になれないから。なので政治でない道で、自分の心に従えて戦うしかない。「我らは裏切り者の刻印を終生負わねばならん。それで乱れた世を正せるならやむを得まい。」 太平記の足利尊氏が話した言葉、心が打たれた。「漢奸」と言われようが、自分の心を裏切ると意味がない。

 

ただ、自分が心配なのが、香港民主派のような「甘い考え」は、日本でもよく見かける。日本は、卑怯な中国共産党には勝てるかどうか、そこが問題である。例えば、先日大手日系企業幹部の日本人男性が中国で逮捕された。聞けば日中関係に貢献をした人という…。

似てるじゃないか?日中関係に貢献すれば中国はきっと変わるとか、世界は平和になるとか、そういう夢を抱いて働いたんだろう。素晴らしい人だと思うよ、僕は彼の志を否定しないしする資格もない。

ただ、そういう人は中国ではただの「カモ」である。どれほど素晴らしい人だろうと、利用価値がなければ捨て石。

 

中国人は政治の前では血も涙も無い、そういう覚悟で戦わないと、負ける。香港の親中派がよく中国の歴史を勉強しろよ、というけど、正しいと思うよ。ただ、勉強するのは見た目の流れではなく、中国の政治の哲学、殺戮と粛清、失敗者の経験を勉強することである。そこをマスターしない限り、中国の本質を捉えるわけがない。

 

某鳩がよく言う「友愛」とか、それで自称中国の事情よく知っているとか、正直笑える。