かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

中国人を知る

ちょうど太郎さんのコメントで意味深い課題が言及されたので、コメントの返事ではなく記事にしました。

 

太郎さん、こんにちは。

中国人を知ることは、博士論文のような難しい課題です。しかし、日本の方に対して真っ先に忠告できることは、自分と同じ考え方・行動原理の持ち主と思わないでください。これまで欧米か日本が犯したミスは、まさにそれです

要は、行動原理は日本人と根本的に異なることを認識しないといけません。そこを理解しないと、結局中国人を知ることが出来ません。

 

行動原理とはなにかというと、いろいろな考察があっても、シンプルに言えるのは、自己至上主義です、つまり自分を最優先にして、そこから利があること行動する。集団でも結局自分のことしか考えてない、あるいは最終的に自分さえ良ければそれでいいという考え方。

面子に拘るやら、負けを認めないやらも、サッカー(団体競技)に弱いとか、あるいは素直に引けば皆幸せなのになぜ逆に「共倒れ」を目指すか、それも全部、この考え方からです。

逆に大局的な利益とか、他人のことはあまり関心を示してない。ゆえに独裁政権に対しても、自分さえ生活できれば良しという考え方で、他人が弾圧されても無関心。それこそが、いま中国共産党が未だに倒れない真実です。そして、民主主義が中国で発展できそうにない原因でもある。

考えてみたください、2年前では白紙革命があるんじゃないですか。あれは結局上記の考え方によるものです。白紙革命は政治的なものではなく、ゼロコロナ政策が「自己」の生活が脅かされ、もうこれ以上は耐えられない、だからこそできた抗議運動です。過去中国歴史の農民反乱と同じ、要は「自己」がもう限界、どうせこのままじゃ死ぬからいっそ暴れるわ、という思想です。

だから当時、自分がその運動に冷たい理由はそれです。どうせ「おまえら生活さえ良ければ、この抗議自体をなかったことにするだろう」とまでわかって…現に今を見ると、まさに的中です。

あるいみ欧米以上に個人主義的ですよこれが。

 

これまでの反日運動か、この前の「西太后」事件も、根に辿り着くと原理は自己アピールだけです。香港政府がなぜいまこんな狂った行動を取るのも、「(中国共産党への)自己アピール」だけです。彼らにとって、世界、香港の現状、他人のことは結局どうでもいい、自分さえ良ければそれでよい。「同調圧力」が強い日本の方ではなかなか理解できない考え方です(日本でも自己優先主義的な人間はいるが、中国人はそれ以上に徹底的です。例えば、自分だけのために日本国や家族を犠牲にしても構わない、という行動は、日本でできる人はほとんど居ないだろう。)。

お母さんも何度も、自分に政治なんて言わないで考えてないで日本で大人しく生活すればいいよ。という、最初は優しい言葉には聞こえるけど、よく考えたら、要は「面倒なことに巻き込まれたくないからこれ以上はやめなさい」という一言に尽きる

お母さんも実はものすごく中国的です。

 

もう一つは、とても感情的。要は論理的思考ができないですよ。「逆ギレ」はまさにそれ、あるいは理性よりも己の感情を前面に出す。だから論理的な論争はできないしそもそも頭にそういう考え方はない。論破されたら結局感情爆発で「逆ギレ」、あるいは明らかに論理的でない主張を言い始める。中国人と論争するとき、彼らを理で言い負かすよりも、納得するように誘導するほうが手っ取り早い。

 

悪いことばかりなんですが、逆に中国人があなたが味方、家族とまで信頼し始めると、「自己至上主義」の輪があなたのとこまで広がる。もちろん結局自己至上だけど、その次に家族あるいは信頼できる人にも情に移るから(まあ要はあなたが損すると己も損する)、そこまでの関係に辿り着くと、中国人の純粋な一面はそのまま見えます。実はなにも難しいこと考えてないですよ、良くも悪くも、動物の本能そのままです

 

本当に中国人を知りたいであれば、やはり中国歴史を勉強することです。結局民族性格は歴史から形成するもので、自分も日本人を知るために日本の歴史を勉強しています。ただ、単純に中国歴史の事件をおぼえても意味がなく、その事件はなぜ起こるか、歴史人物の背景や影響まで考えないといけません。そう考えるとわりと難しい学問です。

すると、中国歴史の文献はどうでしょう。結局中国の歴史は諸子百家から成り立つことなので、歴史に強い影響を与える儒家・法家を見るのも悪くないです。ただ、そういう文献の中身を理解するのも時間がかかります。

 

実は、清末民国初期(明治から大正)で、欧米諸国の影響もあり、大量の思想家、自己批判も増えてきました(日本といえば吉田松陰氏、福沢諭吉氏)。とりわけ、魯迅氏などによる中国人の分析がわりと的確で面白い。だからその時代の思想家の文献を読むほうがベストと思います。なので、もし時間がございましたら、まず魯迅氏の作品を読んでみてください。そこが最もシンプルでベストな出発点です