かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル

レビューバージョン PS5

シリーズ物で主人公や世界観を一新することはよくあることだが、骨幹まで変えることはある意味自殺行為同然。まして今までは裏社会のヤクザものアクションゲームなのに、雰囲気に合わないコマンドRPGに落とすとは完全に意味不明です。確かに『龍が如く6』の戦闘は褒めるものではありませんが、同じエンジンで開発されていた『ジャッジアイズ』はかなり改善されたことで、正直今まで大切に育ってたすべてを捨てたとは暴挙である。

新しいものをチャレンジすること自体は別に批判されるものではないが、わざわざシリーズ物でやる必要性が見えない。ましてヤクザがコマンド入力されるまでただウロウロするのがどう考えてもおかしいし、雰囲気としては最悪である。結果、7では終始戦闘が盛り上がるところがあまり無く、今まで戦闘中のイベントもほとんど消され、ただ淡々と作業するゲームになっていた。

そもそもこれまでの「龍が如く」シリーズはたとえシナリオが悪くても、戦闘、特にボス戦の雰囲気はかなり良かった。漢たちの死闘を体験することができ、ヤクザらしい派手に暴れる爽快感はこのシリーズの売りであるとぼくは考えていた。それを丸ごと捨てちゃうとあとは何が残るか。『龍が如く0』の久瀬の兄貴との死闘がもしただのコマンドRPGに変更したら、完全に萎えるだろう。実際、7のボス戦はほとんど敵が硬いだけの殴り合い作業。そして毒攻撃を仕込むと、ボスが毎回行動する前に苦しむアクションを見ると、どんなシチュエーションでも萎えてしまう。終盤のボスは物語上ではクライマックスですが、30分以上続くのコマンドRPGは何もかも台無しに。大抵、RPGは敵が硬けりゃ難しいというわけではありませんね。

そしてバランス以上に、戦闘のテンポがとても悪い。中盤までは範囲攻撃があまり無く、範囲攻撃があっても使い勝手が悪く、敵がウロウロする全体攻撃以外からかんたんに狙えない。しかもスキルの発動は無駄に時間がかかる、たまに謎の読み込みが入る。雑魚戦が鬱陶しいこと極まりない。しかも街でのエンカウント率がとんでもない高く、やっと雑魚1グループを倒したのに、すぐ近くで同じグループの雑魚が配置される。面白くないのに報酬も大したことない、なのに何回もやらせる。RPGだから以前のようにすぐトンズラすることもできない。そしてダンジョン、過去作と比べて数が減ってるが、コピペだらけ、無駄に長い横浜地下ダンジョンは正直最悪であった。

要はこの戦闘システム良い事何ひとつもなかった。完全に失敗である。

「車が通れば轢かれる」、「落ちるものを使って攻撃する」というアピールがあったんだけど、そうですね、わざわざそういうの起きやすい場所で戦うと、10回に1回ぐらいかな確率は。障害物を蹴り飛ばすのはよくあるが、ほとんど敵に当たらない、ダメージも大したことない。しかもたまにバグっておかしなことが起きる。効率がそこまで変わらないので、弱点を狙って同じ技をブッパするほうがいいです。

ちなみにストーリーではどうなるか。中盤までは評判通りかなりよかった、が、終盤に近づくと展開がどんどん雑な方向に。しかもご都合主義が一杯。無理矢理に、強引に物語を終わらせる。正直かなり失望した。せめて前触れもなく唐突に「ご都合主義キャラ」で物語を収束させるのはやめてほしい、しかもそのキャラがすぐ行方不明で使い捨てとは酷いものだ。

さらにファンサービスだろうがあの人をあの場面まで持ち込んで、「素性明かさない」の一言に済ませるというのはどう考えても無理がある。裏社会では有名人ですから、そこで登場すると間違いなく存在自体がバレてしまう。脚本はそんな当たり前のことを考えてないのか?

ただ、そこ以外主人公春日とその仲間の書き方、仲間ストーリーは割と良かった。ここだけは評価するかもしれない。

「龍が如く」シリーズといえばサブストーリーですが、今回の「会社経営」は正直最序盤以外何の波乱もなく、ただソシャゲのような、春日が金の上で歩くだけの「営業活動」を見るだけのつまらないものである。あまりにも酷すぎてこんなの飛ばすことはできないかね?と何度も思う。見て楽しいことは何ひとつもないし、ゆっくりに見守っても別にイベントとか起きるわけがないので、開発者はこれをやって何が楽しいかと何度も疑問を持つ。経営ゲームならちゃんと経営活動を視認できて、トラブルがあったらそれを解決し、プレイヤーがたまに介入し、ただ放置よりもさらなる利益を生み出すのが面白さと思いますが、これは単純に歩くのを見るだけ、ランダム台詞を聞くだけ、虚しいではありませんか。

「株主総会」のほうはまだゲーム性があるからそれは良いと思うけど、「会社経営」は本当に何が面白いかわからないんです。ただ最終的にこっちで金稼ぐのが一番いいだからやるしかないだけ…(しかも終盤では営業部分が完全に邪魔になる)。あとは、そうですね、「鎌滝えり」を仲間にするぐらいかな。

結局のところ発表当時懸念していた点がそのまま問題化した。戦闘が失敗、シナリオも大して良くない、このまま「龍が如く」シリーズの良さとは何であるか。いよいよシリーズの正念場である。

ゲーム内容POOR システムPOOR グラフィック&演出POOR サウンドSTANDARD

POOR