かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

英雄伝説 閃の軌跡III

レビューバージョン PS4 Pro

軌跡シリーズとの付き合いは、もう10年前からのだろうか。PSP時代ではおすすめ作品と言われて、結局『空の軌跡FC』をやって、いつの間にか、まあいわゆる「ファン」となっていた。必ずや好き、というわけでもないが、結局軌跡は全作品クリアしましたな…。

空ではシナリオとキャラクターが特に印象的で、そして大いなる壁を仲間とともに乗り越え、そして様々なエピソードや関係で、特に好きだった。おそらくあれがきっかりとなるだろう、これからはどうなるかと気になって、このシリーズと付き合うことになった原因。あとはBGMかね。流石に認めるべきか「銀の意志」などは記憶に残る名BGMであった。まあそういうわけで軌跡は毎度も、シナリオとBGMが特に期待していた。

しかし閃の軌跡からか、シナリオがどんどん雑になったにきがする。特に同じパターンの繰り返す、過剰なサプライズ狙い(ただしもう予想できることが多い)、とりあえず伏線だけは撒いたが回収は引っ張る。なんだかどんどん茶番劇にしか見えなくて、今空のことを振り返ると、本当に遺憾と残念としか無い。今回も、ボリュームこそは素晴らしいものの、毎度も「その必要はない!」「フフフ」「あはは…」「……ぁ……」「(パクパク)」など何度も出てくる台詞や、ピンチ→助っ人、ヴァリマール→必要ない→誰かさんが登場、説明シーン→突然時間切れなど、同じパターンのイベントシーンを見て、正直飽きたものだ。特にボス戦後では必ず大勢なものが出てきて「挨拶」するのも、「またか」としか感想がない。こうやってこのようなことを繰り返し、物語は進展しないままたくさんの時間が浪費された。最初の1、2章は空、零のファンへのサービスとも言えるが、本音といえばさっさと「話を進めよ」という。なにせ「閃の軌跡」シリーズとしては今回はもう3作目ですよ、普通ならすでにクライマックスだろうけど、今回はまた新たな絆を育つだけの話で、4章や終章のみ、やっと話が動いたという。新たな展開があったらそれはそれでいいが、特になにもないのは、致命的だった。

勿論、中途半端な終わり方も不満点ですね。空FCでも零でも、一応”内容”はきっちりと完結した、少なくともゲーム内で見せた問題・危機はしっかりと解決された。でも閃Iでもそうだったが、今回も何も解決しないままで終わった。ゲームはクリアしたが、果たして「なにをクリアしたというのだ?」という疑問と不満しかありません。こんなにもすっきりにしない、何の達成感もないRPGは、正直最悪だと思う。せめて内容だけはどこかでちゃんとして完結してほしいものだ。80時間以上をプレイして、得たのは「To be continued」という虚しさと残念さ。本当にどうしようもない。

思えば『うたわれるもの 偽りの仮面』もそうだったよね。確かにたくさんの時間を掛けて、新キャラとの関係を描写する、そのような前章があったこそ終章は感動したとものの、事前はそんなもの知らないし、完結しない作品を買うつもりはなかった。特に、空FCと零は「前章」であってもきっちりと完結する作品があったからな。

そもそも、「閃の軌跡」からだったか、活動範囲やすることが制限されて、日常→特務→日常→特務→という流れが、シナリオ展開の鎖にもなったという。まだ終わってないし次の日常パートもあるから、どうしてもどこかで伏線を引っ張るしか無かった。またそのせいで同じような展開が多発するだろう。やはり空のようにちゃんと冒険するほうが、物語としては展開しやすいじゃないかな。まあ個人的に、「閃の軌跡」は毎度毎度、ただ同じやることを繰り返すの不満であった。

それはさっておき、ボリュームとしてはたしかに最高だと思います。普通にやってもどうしても60時間以上は必要ですので、まあそこを考えるとRPGとしては傑作ですよね…。本当に、内容さえしっかりにすれば…。

また、今回はPS4だけにあって、グラフィックやモーションはあまり変わらないものの、たしかに色々と進化したな。例えばロードやテスクチャなど、まあ、ほかのPS4作品と比べるとやはり物足りないかもしれないが、一応クロスベルがこうも立派に立体化された事を見て、実に感動したという。

この作品には2つ大きな不満点がある。一つは前述のシナリオ、もう一つは戦闘バランス。簡単に言えば敵をブレイクすればたいていなんとかなる。そもそも敵をブレイクする前題というバランスである。それだけでは、まあ確かに問題ではないが、問題はブレイクが強すぎだ。特にオーダーと合わせると効果は絶大、敵は雑魚だけではなくボス、あるいはラスボスまでも、ブレイクすればずっと俺のターンで敵を完封できる。つまりどんなボスでも、うまくオーダーとブレイクを利用すれば完全勝利は簡単なもの。

ブレイクを利用しないだけでいいだろう、という話もあったけど、敵をブレイクしないと自己強化(高揚)や回復など、とても面倒くさいことを仕掛けてくる。ブレイクしないと敵の回復を追いつかない、そんなバランス。結局のところ、ブレイクゲーになってしまい、中盤からは戦闘は地味なブレイク作業を繰り返すだけであった。また(一部の)オーダーの効果があまり強すぎて、アーツはATボーナス以外使うことが無意味になってしまい、とんでもないバランスブレイカー。確かにブレイクは便利だが、強すぎだとゲームとしてはどうかと。せめてボスはブレイク効かない、あと高揚などを弱体化すれば…。

空FCからこの戦闘システムはすで8作目、正直もう安定してると思うけどこれはこれで残念としか言うことはないね。

BGMに関しては、まあかなりのクォリティだったが、印象に残るBGMはハーメルのアレンジBGMやBlue Destinationなど、どれも前作のBGMやアレンジなので、今回だけの新BGMで印象に残るのは特にありませんでした。これも少し残念。

軌跡との付き合いは、ここに来てなんか疲れてきた。まあ流石にこんな終わり方では続編は買うしか無いけど、本当にこのままではいいのかと思い始める。80時間をプレイして、ただ「未完」という虚しさ、しかもこのシリーズではもう二度目。開発は果たしてこの作品を通じてなにを語らうつもりか、あるいはどうしてこんな作品を送り出したか、そもそも開発陣自身は良き薫陶を受けたんだろうか…ぼくには到底理解できませんが、このシリーズへの不信感がさらに増した。

私が好きだった軌跡は、どこに消えたんだろうか。ゲーム中にあった空や零のアレンジBGMを聞く度にどうしても考えてしまう。

ゲーム内容STANDARD システムGREAT グラフィック&演出POOR サウンドGREAT

STANDARD