日本の文化とは違いかもしれないが、香港では、持ち家はステータスです。成功するかどうかはこの一点に尽きる。自分はそういう価値観は好きではないが、長い間香港で成長したのだから、多少は影響されるかもしれない。
理由はよくわかりませんが、おそらく日本と違って香港は狭いからだろう。だから自分の居場所を「確保する」ことが、成功の証ともなる。ただ、このような価値観が更に悪化したのが、返還後2000年からである。
もっとも香港の物件はそんなに高くなかった。思えば子供の時代、実家は40平米の2LDKだった、価格は1500万円ぐらい。あの頃では大学卒業後、数年貯金すれば買える額だった。ただ、2000年以降、香港では大量の中国出身の金持ちが湧いてきて、物件を買い占めた。そして不動産の価値が恐ろしいほどに上昇し、いまに至る。信じられないことだが、当時1500万円のヘボい2LDKはいまでは1億円ぐらいになった。しかも築年数は関係なく。だからこの「ステータス」は、いまでは普通の人間ではとても届きそうにないものとなった。
これが香港人なぜ中国の人が嫌いの原因と、親中派がよく言うことです。親中派や中国共産党にとって香港人は結局金しか興味ない集団だから、「自由民主」を求めることを到底認めないだそうです。金さえあれば香港人は黙ると彼らはそう考えている。
話を戻ると、このアホな額になって、いまでも物件を買える人はいるが、たいていは値上げ前に物件の保有者か、地獄のローンを組むか、プロフェッショナル(成功)の人ぐらいです。良いことか悪いことか、自分の母はアホみたいに値上げ直前に、へぼい2LDKを売って、現在自分の実家90平米ぐらいの3LDKを買いましたのです。だから母は「一応」億万長者です。ただし、自分では当時家を買うのはそもそも興味なかったし、タイミングを逃したとも言えるが、家を買ったら果たしていまはそう簡単に日本に渡れるか、疑問かもしれません(ローン組むことで逃げられない)。
ちなみに香港ではITは「成功」ではありません。プロフェッショナル(成功)の人は医者、弁護士、金融などのことです。ITは犬と言われる、奴隷みたいな存在です。よく「IT犬」と言われ、奴隷のような扱いで、年収も高くない。「HK no IT」は香港でよく聞く言葉です。だからなぜ香港出身のエンジニアが珍しいか、これが理由です。(最近では政府がやっとITの重要性に気づいて、力を押すようになったが、国家安全法の影響で我らIT犬すら逃げ出したので、わりとざまみろwという気分です)
香港の家は流石に無理だが、それでも頑張って、12年間、なんとかこの家を買えるほどの金を貯金した(母からのサポートも少しあるが)。香港では叶えなかったステータスを、いまとりあえず日本で叶った。これが、持ち家にこだわる理由です。