かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

イースIX -Monstrum NOX-

レビューバージョン PS4 Pro 1.02

アドルの冒険は最近7からセルセタを経て、ついに最高傑作とも言われる8に進化した。特にPS4版では快適さとボリューム、システム、そしてシナリオとキャラの設定は、どれもほぼ完璧と評価された。元々PSP時代ではすでにイースのほうが好きの自身からしては、PS4版の『イース8』はファルコムの、ARPGの最高傑作を位置付ける作品でもあった。そんな8の続編9がPS4専用として発表されたとき、期待度は正直これまでにもない大きかった。

そう、最近のイース作品はどれも携帯機ベースとして作られた。7、セルセタ、そして8、いずれも携帯機用として開発され、のちにセルセタと8はPS4でも移植されたが、アクション作品であるゆえに、正真正銘の据え置きのイースが見たかった。『イース8』は最高傑作と評価されたのだが、やはり元は携帯機向けなので、グラフィックはもちろん、モーションやゲームの内容は据え置きとしては些か残念…ではなく物足りないものであった。ゆえに今回は久しぶりに据え置き向けとして開発され、やっとファルコムの本気イースを見れること、本当にめちゃ期待してた。

 

では、結論というと、満足です。8を超えた部分はもちろんある、が、8と比べてちょっと残念な部分もある。しかし、イースシリーズで一番戦闘が楽しかった作品であることは確か、そしてシリーズ史上最高の出来であることは、事実ではある。

確かに否定もできないが、街の作り込みはちょっと頑張り過ぎかもしれません、ゆえに街での戦闘ではフレームレートがとても不安定、60fpsどころか、30fpsも維持できない場所がある。ここは事前でもちょっと心配したことなんです。8はVitaベースですからPS4に移植されると60fps維持は当たり前、が、今回はPS4ベース。グラフィックはもちろん、フィールド、オブジェクトや物量など、何もかも違うから、8のあの快適で気持ちいいアクションは、9でも楽しめるだろうかと心配はしてた。そもそも街で歩くだけでも「重い」と感じたことがあるので、ここは残念ではある、が、果たしてフレームレートはそんなにだめか、と言われると、そうでもない。

なにせ、このゲームでは街で戦闘することは滅多に無い。敵をエンカウントみたいなものですから、敢えて「重い」場所での戦闘を回避すること自体は可能だ。そして、街以外のダンジョン、防衛戦・殲滅戦のグリムワルドの夜、フィールドなどの戦闘のフレームレートは一切問題はなかった。8にあったすべての戦闘要素はもちろんだが、今回の異能アクションは戦闘でも使えることで、攻略方法と爽快感は8より格段的にクォリティアップ、派手さが過去作と比べると断然違った。特に、8ではちょっとだけの高低差でも引っかかるが、9ではそもそもジャンプだけではなく壁では走れる、滑空は可能なので、高低差を活用する戦闘の楽しさは8ではまず味わえない。セルセタのような、専用アクションはキャラ固定ではなく、異能アクションは全員自由に使えることで、好きなキャラで好きなアクションを最大限に楽しめる。性能のおかげ、とも言えるが、なにせPS4だからL2R2L3R3も使えるから、操作ボタンが増えること故に可能、だからだろう。

街の作り込みの影響で街でのフレームレートは犠牲になってしまったが、お陰でここ最近和ゲームRPGで一番大きな街を体験できたこと。驚くことに、街自体はゴーストタウンではなく、NPCはそこそこいます。全員話しかけるほどのボリュームではないが、街の活気は一応見た目だけでも感じられる。ここは良かったことです。PS4だから当たり前だろうと評論する人もいるだろうけど、世の中では大手企業のPS4ゲームでも、街が大きいだけのゴーストタウンのが多いからね。街でのフレームレートに関しては残念としか言いようがないが、今後アップデートで改善されることかもしれない。そもそも、中盤以降では中央区以外、全然気にしてないからね。そこの戦闘は上では言ってたがそこで戦闘しないでも別に損はしないこと。

街が大きいと言うと、今回もっとも感心したことは、広いだけではなく、ちゃんと立体感を表現したとのことです。これに関しては街だけではなく、ダンジョンやフィールドでもそうです。ただ水平方向で広いということではなく、上や下、高低差がある立体的な構造。探索では前だけではなく、ちゃんと上と下も確認しなければならない、そして意外なことに道や通路が隠されてる。ダンジョンはもちろん、大まかは一本道であることは変わらないが、以前になかった複雑さはあった。宝箱もちゃんと色んな場所を回し、カメラで上や下を確認しないと見逃しやすい。異能アクションが使えるからダンジョンでもフィールドでも自由自在に飛び回ることが可能で、正直探検の楽しさは格段にアップした。これは本当に良いことです。お陰で最初は「アサシンクリード」を思い出したことすらある。もちろんグラフィックはまだまだそのレベルに達してないが、自由自在に街に飛び回り、立体的な探索要素、この辺はちゃんと表現できた。ファルコムのことを考えると、これはこれで大きな進歩ではないか。

今回では一つ監獄都市に縛られ、冒険感はあまりなかったことは事実だけど(ダンジョンも暗いのが多い)、『イース8』にあったすべての要素はちゃんと全部引き継ぐ、進化した。だから8が好きならば、9は間違いなく楽しめるだろう。8より良かった部分は上では戦闘と探索の部分をあげたが、キャラのこともそうです。特に仲間のキャラは今回、ちゃんと一人一人詳しく描写された。8では島で出会った程度、空気キャラクターが多いが、今回は戦闘に参戦しないキャラまでも個性的で好印象。それぞれちゃんとボイス有りキャライベントが用意されたから、正直8より今回の仲間が思い入れ深い。とはいえ残念ながらダーナを超えるヒロインは今回出ていません、そのハードルはあまり高くて流石に無理であろう。でも、総合的に考えると、9の仲間はどれもかなり印象的、そこは8を超えたとも言える。たとえ最後の仲間である背教者でも、ほぼおまけのような魚でも。

では8より足りない部分とは、あるいは今回で良くなかったことは、というと、実は何でも言うとネタバレになるが、牢人アドルパートである。

レビューではネタバレをできるだけ避けたいが、今回最大の不満要素はここなので、正直避けるようがない。ゆえに許してください。このパートはなにかと言われると、8のことを言うと過去ダーナのパートです。しかし今回では成長要素が一切なく、武器も一本のみ、即死罠が多数存在する。幸運であるか不幸であるか、この部分は本編では1回だけやらされる、ほかはクエスト扱い。しかしこの部分はストレスだらけでパズルみたいなものですから、ARPGでこれやるとは良いことか悪いことか…。ただ、レーサーに当たられると即死するなんて、正直厳しすぎと思いますね。せめて1回ミスぐらいでも平気だったら、まだいいかもしれない。なにより、この部分では全編から見るとなんか「余計」と思うからね…。

もう一つ欠点をあえていうと、ロード時間のことだが、今回ではフィールドの切り替えがあまりないから、正直ロードすることは滅多に無いかもしれない。ただ、場合によってファストトラベルよりそのまま目的地に走るほうが早いともある(異能アクションを使えばそこまで苦労はしないからね)。実際、ロード時間を考えて、自分はファストトラベルをあまり使わなかった。フィールドや街のことを考えると、このロード時間は納得するが、8ではほぼロードはなかったほどの快適さなんですから、やはり不満というと不満なんですよね。他のゲームと比べるとこのロード時間はまだまだ短いなんですけど。

 

PS4向けのイースだからグラフィックは格段にクォリティアップ、ということは残念ながらなかった。でも、グリムワルドの夜など、今回では初めて仲間6人全員戦うこと、そしてたくさんの敵と混戦するもフレームレートは安定してると思うと(街のあれはひとまず置いといて)、グラフィックを敢えてパワーアップしないことは正解かもしれない。なにせモーションは今回それなり進化したんですからね。ストーリーはここではネタバレはしませんが、イースシリーズではかなり重要な位置かもしれない、特にアドル自身に関しては。8ほどのインパクトはなかったものの、どんどん謎が判明され、そういう楽しさと面白さは一応健在です。システムや戦闘面、探索面も8より強化され、全体的に考えると、8を超えたかというと一応超えた。しかし、同時に8と変わらない部分も多数存在することも事実。今世代のイースは7、セルセタ、8、そして今度の9、ついに完成形の完成形になった同時に、この路線ではそろそろガラッと変わらないと新鮮感がなくなる。個人的に面白いARPGであれば構わないが、次はそろそろなにか新しいことを遊びたい気持ちもあった。

でも、余計なことがあまりなく、安定して面白いのがイースシリーズの魅力。少なくとも9で据え置きイースを見れたことで、ここはひとまず満足をするだろう。クリアした同時に、喪失感も大きかった。名作です。

ゲーム内容EXCELLENT システムEXCELLENT グラフィック&演出POOR サウンドGREAT

EXCELLENT