かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

日本の歴史シリーズ『平安京』読了

見てないけど、今の大河ドラマではちょうどこの本のあとの時代であった。日本の歴史シリーズを1から読み直し、ついに平安時代に突入。さて、実はこの平安時代に関しては、藤原だらけということ以外、あまり分からなかった。あるいは平安貴族たちが贅沢三昧、国司が圧政を敷いて、平民がとても貧しいという二極化…なんともまあ、今の日本政治となんか重ねているよね。

桓武朝の絶対的な独裁、王朝の頂点からどんどん落ち込み、次第に宮廷がどんどん腐敗に進み、やがて…というのは中国の歴史でも同じものが何度も見た。中国では最終的に農民が反乱して独裁を取って代わる、ということになってるが、なぜ日本ではそれを乗り越えて、「万世一系」を謳えるか。

おそらく、きっかけはあった。平将門と藤原純友の反乱、あれがより一歩進めたら、あるいは連携がうまくやったら、もしかして日本はぜんぜん違う様相、いや、中国と似たように別の帝国が取って代わる可能性があったかもしれない。よくよく考えると、これを乗り越えたのが最大の原因かもしれない(とはいえどちらも出自は天皇血統なので、「万世一系」は認められるかもしれない)。

本ではたくさんの和歌が紹介されましたが、残念ながら自分は現代日本語を覚えるだけでも精一杯で、古代日本語や和歌を理解する力はありません。しかし、あれだけたくさん紹介されて、宮廷はどんどん悦楽に走っていくのはめちゃ伝わる。いや、うんざりほどに(笑)。在原業平や小野小町、または紀貫之、実は歴史を読むとこういう文学的なところはちょっと苦手ですね、でも頑張って読み切った、どれほど覚えているか正直微妙だが、それでも名前ぐらいはなんとなく脳内にあった。

「和歌」、それがこの時代の代表かもしれない。

いつか余裕があったら、ぜひ和歌を理解したいね。せめて読めるぐらい…。

 

この本を読んで、実は坂上田村麻呂について、もしかして大河ドラマやれるではないかと思いました。一応最初の征夷大将軍なんですし、アテルイとの関係も物語になる。

薬子の変や応天門の変に関してはちょっと微妙かもしれないけど(その後の良房基経もたぶんやっても面白くない…)、平安前期ではやはり桓武朝の胆沢城攻略か、承平天慶の乱以外、ネタになりそうなものはない。

坂上田村麻呂の場合、実は桓武天皇とほぼ重ねるから、裏主人公が桓武天皇、ということも可能になる。

 

意外と、本では菅原道真をそこまで評価しなかった…あるいは宇多天皇が時平を抑えるために起用したが結局だめだった、とまでしか多くのを語らない。もちろん文学的なものは言及しましたけど、政治では失敗者であった…。まあ、どの世の中でも、特に政治においては、結局率直な人は悲しい結末になるのが多いですね…

正直この本を読んで一番印象に残るのは、良房基経時平などが己の権力のために政敵を排除し、政務を疎かにし、次第に承平天慶の乱まで発展することを見ると、藤原一門にいい印象ないし、なんか中国のよくある外戚の乱とも思った。

でも彼らが天皇を取って代わるという念頭がないのは、中国の外戚との最大の違い。その「破滅的な」一歩までは踏み出せないのは、流石というべきか…。

あるいは、彼らにとって、外戚のままのほうが都合がいいかもしれない。鎌倉時代でも、北条一門は鎌倉将軍を取って代わるなんて考えもしなかった(まあやったら朝敵ですけどね)。やはり名や威光、あるいは権力の「正統」だけは、日本では守られた価値観であり、超えるべきではない一線かもしれない。

 

さて、いよいよ次は藤原道長が登場する。また文学的な話ですね…