かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

二ノ国II レヴァナントキングダム

レビューバージョン PS4 Pro v1.01

PS4で一番面白いRPGが『ウィッチャー3』と言うならば、『二ノ国II』は間違いなく二番目面白いRPGである。少なくとも、ここ数年であらゆることも出来が良く、クォリティと完成度が高く、何よりストレスもないRPGは、『ウィッチャー3』以外では『二ノ国II』しかないと思う。

そう、日本のRPGというなら、今世代が一番かもしれません。『ドラゴンクエスト11』もなかなかだったが、『二ノ国II』はシナリオ以外あらゆることも『ドラゴンクエスト11』を超えましたので、総合的にトップであろう。

まず欠点を話しましょう。この評価が高いRPGの欠点といえば、結局の所シナリオ、そしてメインストーリーのボリュームである。単純に前作と比べても、本筋のシナリオはそれなり劣化しました。もっとも顕著的な問題といえば、話の進行がかなりあっさりにしている。単純明快というが説明不足で、「なんでそうなる」という展開がしばしば。描写不足がかなり目立つで、単純にシナリオを評価するならば、このRPGはかなりの凡作です。また、仲間やキャラクターの描写もかなり不足で、愛着がわかない。シャーティーなどは中盤からほぼなんの活躍もしてないし、セシリウスはそもそもなぜ仲間になったか疑問を浮かぶ。前作ではシナリオの展開が結構しっかりにやったので、なぜ今作はここまで説明不足描写不足であっさりにしたのか、シナリオだけは少し残念であった。

しかし、『二ノ国II』の欠点はそれだけであった(フルボイスということもあったが、俳優を起用した時点でボイスは最初から諦めた。まあそもそも俳優の効果あまり無いから普通の声優にしてフルボイスでやってほしかったが)。もちろんシナリオを一番重視するならばこのゲームはおすすめしないかもしれない、でも全体から見ると、描写が足りないのはたしかに少し残念であったが、進行が逆にテンポよく展開しており、複雑な話もなくて、あまり深く考えなくても良い。なにせ、『二ノ国II』の他の良さはこれを補完できたのだ。

ひとつ、一番褒めたいのは戦闘システム。前作は戦闘システムが欠点であったが、今作は逆に一番良く出来て面白い戦闘RPGでもあった。アクションにした、とだけではなく、ちゃんとハイクォリティーのグラフィックで60fps戦闘を維持し、しかもエフェクトが派手、キャラクターのモーションと仕草も出来が良く、とりあえずとても気持ちいい。何度戦闘しても飽きない。ダンジョンではシームレスで戦闘を展開しており、非常的に快適です。なんともいうと、たぶんここ数年遊んだRPGの中で一番面白い戦闘ではないかな、とのこと。テイルズオブシリーズが目指したい戦闘は、このゲームにあった。仲間も割と有能で、本当にストレスがなく、楽しい戦闘を楽しめる。ロードがなく、トレハン・ハクスラも用意されており、いい装備を狙うことも含めて、久しぶりに戦闘が鬱陶しいじゃないRPGに出会ったのです。難易度については序盤では温すぎると聞きましたが、実はこのゲーム中盤になると油断するとすぐ死ぬので、とくに瘴気モンスターは結構な難易度でもあって、クリアした時点から見ると、バランスはよく出来ていると思いますよ。だからこのゲームの戦闘システムは個人的に一番評価しており、ほかのRPGとの差といえばまずこれであろう。

もう一つ、褒めたいのは寄り道の多さ。メインストーリーは短すぎるかもしれない。しかしメイン以外の部分はかなりのボリュームが用意されてます。場合によって、寄り道のイベントやキャラクターのほうが、メインよりもハマるかもしれません。一つ例といえば、野生王国のやつとのやりとり、そしてスカウトの過程が本編のどのキャラクターよりもしっかりと描かれている。確かに、サブクエストをよく見ればお使いが多数、レベルファイブゲームのよくある作業クエストもかなりあったが、なぜか特にストレスもなくついついやってしまうのか、理由は二つがあった。一つはゲームの快適さ、もう一つはゲームデザインのうまさ。ゲームデザイン、というより、キングダムモードとの整合がとても素晴らしかった、とも言えよう。

なぜ寄り道を評価するか、ほかのことでもなくキングダムモードそのものであった。ほぼすべての寄り道はこのキングダムモードと連携しており、そしてキングダムモードの進行によってゲームシステムがどんどん改善され、遊びやすくなり、さらにいうとゲーム進行に色々便利なものも、このキングダムモードが隠されたのだ。マップの移動が遅い?キングダムモードを進行すれば早くなる、経験値が少ない?キングダムモードを進行すれば改善される。より良い装備を作りたい?魔法を強化したい?戦闘に関するあれこれ、さらにフィールドのギミック(一部ではメイン進行だけでは解放されません)、そしていちばん重要なアイテム集めも、キングダムモードを進行すればいい。そしてキングダムモードは経営要素が用意され、たとえシステム自体はほかの経営ゲームと比べるとやや物足りなくても中毒性は健在です。そしてキングダムモード、っていうか国を発展したいならばサブクエスト・人材スカウトが不可欠で、サブクエストをやればやるほど人が集められ、国が発展し、ゲームプレイにも色々な利点が解放される。このような連携は見事であり、気付けばメインよりもサブに時間をかけてしまう。ゲーム開発者はここで見事にプレイヤーの心理を掴んでおり、たとえサブクエスト自体は地味な作業でも、このようなゲームデザインであって、さらにゲーム自体はとても快適なので、結局ついついやってしまう。たとえゲームをやらなくても放置してKGを貯めるも可能なので、ゲームはなかなかやめられない。このへんは本当によく出来たと思います。メインはあっさりなんですが、サブは想像以上のボリュームなので、ゆえにメインへの不満はそんなになかった。敢えて言えばキングダムモードの発展を全部やったらやることはなくなったが、それもう贅沢な不満ですね(もし最終的に永久に繰り返し系の研究が用意されたらそれはそれでよかったと思いますね、例えばとんでもない研究費でシラズの森のみ取れる素材ランダム1個入手できるとか)。

思えば最近のRPGはメイン以外のサブが面白くないか、あるいはそもそも用意されてない二択なので、『二ノ国II』はこの時代だからこそ輝いたと思いますね。そういう面から考えると、この『二ノ国II』は本当にPS2以前のRPGに似ている。ゆえに昔のRPGがやりたいなら、『二ノ国II』は最適解ですね。

また、サブクエストの内容自体は確かに似たようなものですが、そもそもRPGにお使いはもはや避けられない。だから『ウィッチャー3』でもそうであったが、如何にサブクエストの話を面白くするか大事です。このゲームではドラマチックなサブクエストこそはないものの、台詞やイベントはちゃんと作り込んでおり、『ファイナルファンタジーXV』のような「とりあえずカエルを探せ」というものではない。まあボイスがないから地味だろうけど。

『二ノ国II』で目に見える一番素晴らしいことはおそらくグラフィックであろう。実際雰囲気はよく出来て、まるでジブリ映画を見てるような感覚なので、そもそもこれが売りで、前作PS3版でもここが高評価だからまあ期待通りであった。ただ、あえていうとフィールドマップも前作のようにトゥーンのままでよかったと思うな…。音楽についてはもはや言うまでもなく、久石さんはまた素晴らしい仕事をした。

グラフィック、雰囲気、音楽、戦闘、システム、快適さ、寄り道、どれもトップクラスの出来であり、ここまで完成度が高く、高水準なRPGは正直なかなかのものであった。もちろんメインシナリオも改善できればそれはもはや完璧かもしれないが、それでも本作はほとんどのRPGを超えており、素晴らしい作品である。もちろん、斬新的なものにこのゲームはない、が、ちゃんとした今世代のクォリティの面白い王道RPG。とあるメーカーがよく言う「とりもどそう、ぼくたちのRPG」とは、この作品である。もしあなたはRPG、特にPS2やそれ以前の時代のRPGが好きならば、この作品は買うべきである、応援すべきである。この作品は和製RPGが目指すべきものであり、あるいみ王道RPGの一つ完成形とも言える作品で、おそらくこれから5、10年もこれを超える和製RPGはないだろう。

ゲーム内容EXCELLENT システムPERFECT グラフィック&演出EXCELLENT サウンドPERFECT

PERFECT