かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

FINAL FANTASY XV

レビューバージョン:PS4 Pro

10年待たされて、やっと発売された『FINAL FANTASY XV(ヴェルサスXIII)』。結果というと、やはりがっかりかもしれない。

RPGとして最も重要なのはおそらくシナリオであろう。しかし、このFFXVのシナリオは一言に言えば「雑」、そしてイベントはかなり唐突なものであり、何よりもやたら壮大な世界観と魅力的なキャラクターが用意されてるが、ゲームではそのへんのことあまり触ってない。最大の問題点といえば、やはりヒロインだろう。ヴェルサスの設定まで変えて新たなヒロインを用意したが、結論としては意味不明。ヒロインの出番は短い以上に、すぐに退場してしまう。唐突に出てきて、そしていきなり感動シーンが用意されて、「ヒロイン死ぬぞ泣け」と言われてポカーンしかない。そもそもこのヒロインはヒロインらしいことやった覚えがない。回想でも印象的ではなく、ゲームではなんか重要なNPCしかイメージがなく、そして終盤の展開を見るとヒロインの退場は何の意味があるのか、とさっぱりわからない。

ヒロインだけではなく、一緒に行動する3人も、彼らとのエピソードは用意されてなく、キャラクター関連を深めるイベントがほとんどなく、ただの「仲間」としか認識してない。逆に彼らは何の理由もなく唐突にパーティーから離れたり、何の触れもなく突然失明となり(しかも重要な意味を持つとかそういうのではなく)、再会しても何の会話もなく、何もかもあっさりというイメージしかない。多くのRPGでは仲間を重点的にフォーカスし、彼らと主人公の話を描くが、このRPGは一切なかった。結果、クリアしてもキャラクターへの感情は特に何もなく、いわば感情移入できなかった。

本来、世界観やキャラクターの話を深めるイベントはサブクエストやサイドイベントの役割なんですけど、このゲームのサイドイベントはほぼ内容がなく、サブクエストは究極なお使い。会話内容までも「またお使いか?」という始末、もはや呆れるほどつまらない。確かにRPGはクエストはほとんどお使いだが、ストーリーやエピソードなどを用意するとお使いでも面白くなると、『ウィッチャー3』はそれを証明した。しかしFFXVのお使いは本当にただのお使い。内容?ストーリー?そんなものいっさいなかった。ただカエルを集めて報告するとか、そんなものどこが面白いか、開発者はどうかしている。

メインストーリーもツッコミ満載だが、何よりも9章以降の流れがいきなり超展開して、しかも解説やフォローが一切なかった。ノクト視点、というのは言い訳、そもそもノクト視点だとしてもあそこはもっと作り込むべきだった。ぼくは9章から10章、グラディオがいきなり怒鳴りモードということ、全く理解できないよ(不甲斐ない王子に落ち込んだとしても、この豹変はない)。

思えば『テイルズオブベルセリア』でも主人公視点なのに、イベントはしっかりにしたからこそ、主人公に感情移入できた。でもこのFFXV、ノクトは何を思うか、ぼくは全然理解できません。

もっとも、たしかに終盤はストーリーを表現するためにリニアにすると開発者自ら言いましたが、実際一番ついていけないストーリーはリニア部分の9章以降からです。これはギャグなのか、だとしたら笑えないな。終盤だからこそ説明必要なことはたくさんあるのに、開発者はそれを無視して逆に13章という実際内容は何もない、ただ黒幕の煽りを聞くためのダンジョンを無駄に長くした。本末転倒にしかない。そして未完成品と思われるほど雑なクォリティ。

かなり寄り道をしたが、それでもクリア時間は30時間。数字だけでボリュームの無さを如実に示す、とはこれのこと。説明不足も、このクリア時間を見たら納得しかない。

オープンワールドだからストーリーとの整合が問題という言い訳も通用はしない。なにせ『ウィッチャー3』があるからだ。開発者はくだらないプライドを捨てて、まず『ウィッチャー3』やってからゲームを作ること、をおすすめします。このゲームに足りないものは、すべて『ウィッチャー3』にある。

唯一、褒めることといえば戦闘。仲間とのコンビアクションや、モーションのバリエーションはたしかに良かった。でもバランスもかなり雑なので、回復薬を酷使するほど面倒なものである。

また、音楽だけはとても印象的で、非常的に良かった。最近のRPGの音楽ではトップ3に入るほど出来がよい。

とまあ、でもRPGとして、ストーリーがだめだけで、もうゲームとしては終わったじゃないかな。オープンワールドとしても、制限が割りと多くて、何もない荒野が多く、冒険している感覚もない。モーションだけは確かに極上だが、RPGとしては極下だね。感動せず、シナリオは唐突で面白くない、広いだけ何もない世界、そして終盤では呆然と疑問しかない、何の達成感もない。楽しかったのは、おそらくチョコボぐらいだった。

一人のプレイヤーとして、このゲームをクリアした感想は、「やっぱつれぇわ」。

 

ゲーム内容:POOR システム:STANDARD グラフィック&演出:GREAT サウンド:EXCELLENT

POOR