かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

いけにえと雪のセツナ

いけにえと雪のセツナ
Project Setsuna

限界を超えたRPGを(ry

 

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昔のRPGの良さとはなんだろう。感動的なストーリー、印象的なエピソード多数、興味深い世界観、魅力的なキャラクター、何度聞いても飽きない音楽とBGM、個性的なシステム、楽しい戦闘・・・

流石に全部揃うRPGはなかなか少ないが、名作として評価されたRPGならば、以上の特徴は少なくとも一つや二つぐらいはあるだろう。

そんな「昔のRPG」の良さを取り戻そうとアピールしたこのタイトル、果たして成功と言えるだろうか?

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一つだけ言えるのは、ストーリーとキャラクターに関しては全くピンとこない。特にキャラクターは全員なんかあっさりにした行動をしたせいで、プレイヤー側としては違和感がものすごいがある。ほとんどの反応は「そう」「うん」「そうしよう」「だな」という、あまりにもストレートすぎの対話内容と展開で、とにかくつまらない。そう、みなが人良しで、あまりにも無個性的すぎだ。そういったせいでたとえいくつキャラクターに関するイベントが用意されても、まったく印象に残らない。さらに、ストーリー全体では山場が特に用意されてなく、様々な街が用意されてもなんか観光しにいったという感じで、「ここで何をしたっけ・・・?」と以前に一度たどり着いた街を再び訪れると、何度も疑問を持つ。

また、キャラクターの行動原理や、彼らの感情などはかなり説明不足にも言える。まずヒロインのセツナを、ですね。物語の最初、なぜ彼女は主人公に対してそんなに優しいか。そして物語の最後、彼女は一体なぜあんな行動を取るか、彼女に関することはとにかく説明不足で、印象としてはとにかく理解不能の女の子。そもそもイケニエなのに、彼女の気持ちや葛藤など、実は素晴らしい素材なのでは?しかしこのゲームでは全く触ってない。そう、「あたしはイケニエだからイケニエに行こう」としか見えない彼女は、実に理解し難いキャラクターだ。

仲間の数人は最低限の過去が紹介されたが、物語ではそれを活かす場面やイベントが多くないから、結局なんの感情もわかない。もっとも、一番致命的なのは、自分が最後までコントロールしているこのエンドという主人公。スタッフロールを見た時最初の感想は、「で、ぼくが操ってるこのおっさんは一体誰なのだ?」ということしかない。そう、主人公は何者か、そもそも過去は?傭兵になったきっかけは?とにかく彼に関するエピソードは殆ど無い。確かに主人公だけど、主人公らしいことは、あるいは成長するポイントは一個もありません。昔のRPGといえば、主人公が何かのことで成長する。あるいは最初では無個性のクラウドさんも、何かしら行動でプレイヤーを感動させる。しかしこのおっさんは何もしてない。

クリアしたけど、「あっクリアした?」としか感想がなく、昔のRPGのような愛着を湧くキャラクターは一人もいない。「昔のRPG」の良さがストーリーだとしたら、このゲームはまず不合格ですね。

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雪だらけなんですから、世界観は魅力的なんだろうか正直評価しにくい。しかし、この物語では「雪だらけ」の舞台である必要性は全く無い。それだけはいけない。雪国の世界だから、せめて雪国らしい物語や、それを深く関するエピソードぐらい用意すべきかと思いますね。雪国である必要性は全く感じない以上に、どこに行っても同じ風景ばかりで、冒険している感覚が・・・。新しいローケーションにたどり着くも、「え?まったく同じ風景じゃん」としか感想がないね。ダンジョンも街もコピペばかりですし、世界が確かにそこそこ広いが、まるでただただ広いオープンワールドゲームのようで、中身は狭いんですね。 もしや雪国はこのゲームのストーリーとキャラクターが真っ白だから、ということなんだろうか?

音楽はおそらくこの「雪国」に合わせて、全部ピアノ曲に統一されました。雰囲気としてはまあ合ってるけど、ピアノ曲の限界がかなり目立つ。特に盛り上がるべきところではBGMのせいでなんか台無しの感じ。ピアノ曲ばかりで、逆に印象に残る曲は一つもない。むしろなんかうるさいと思う部分も。雰囲気は大事だが、全部ピアノ曲ということも暴挙、そして単調にも言える。昔のRPGの良さはここまでシンプルなのか、断じて否。

システムはかなり個性的だが、「昔のRPG」からかけ離れた部分も。まず防具や宿屋がない、そしてステータス画面などや、キャラクターがレベルアップすると成長する要素がかなりわかりにくい。強化手段は法石や昇華などだが、微妙に使いにくい以上に、効果はあまり顕著ではない。アクセサリーの数は多いが、ほとんど昇華効果が違うだけで、パラメーターに影響するアイテムは殆ど無いという。武器改造も解禁が遅い以上に、制限が多く効果も微妙。刹那や昇華というシステムは、たしかに面白いが、先制すれば必ず1回刹那出せるという点で、雑魚戦が先制しないとだるいバランスとなり、作業感がかなりすごい。あと一部刹那の効果はスキルとの関連性がいまいち感じないし、覚えにくい(戦闘中では発動しないかぎりに確認できないゆえ、どんなスキルにどんな刹那の効果なのかなかなか覚えない)。確かに戦闘についてはシステム慣れたらそこそこ楽しいが、不満点も多いね。一部のボスはなんかバランスがおかしいし、数多くのドロップアイテムもただの水増し要素にしか見えない。そもそも、多種類のキルだが、そのフォントはものすごいダサいね、まるで同人ゲーのようだ。

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RPGといえばエネミーエンカウント。このゲームでは広いエリアが用意されてその敵と触るとそのままバトルになるシステム。まるでシームレスだが、広エリアは必ず通過する場所に設置されるので、結局シンボルエンカウントだがほぼ全部倒さないといけない。もちろん上手く回避することはできるが、かなり高難度の回避移動を取らないといけない。そして、何よりイラつくなのは、このゲームでは色違いだが低レベルだとこっちが瞬殺されるほどの雑魚(法石に蝕まれた魔物)が配置されてる。だが、背景のせいもだが、雑魚の色違いがわかりにくい、バトルすると戦闘BGMは違うだけど、それはもう遅すぎとも言える…。前触れが全く無い以上に、全滅するとそのままゲームオーバー仕様。これはゲームとしては不親切であり、普通に不必要なイライラ仕様である。そもそもこのような雑魚は大抵離れた場所に配置されるのは普通だが、このゲームだと終盤ではセーブポイントの近くにいる。制作側は何がしたいか全くわからない、プレイヤーへのいたずらかな?

褒めることならば、まず先にも言ってた戦闘(慣れたというが先決条件で)、あとはグラフィックかな。別にものすごいではないが、雪国の雰囲気をうまく出せたし、そこそこ綺麗と思います。あとPS4版ではロードが殆ど無く、かなり快適にプレイできるのも(もっともこの程度のゲームだから当然ではないでしょうか)。

RPGとしてはの評価では普通、ただし「昔のRPGを取り戻そう」としての評価はダメ。PS1時代そこそこ評価されたRPGはグラフィック以外どれもこのゲームより優れる。「昔のRPGを取り戻そう」以前に、まず制作側が「昔のRPGを作る感覚と情熱を取り戻すべき」と思いますね。

 

THE GOOD

+戦闘はシステム慣れたらそこそこ楽しい

+グラフィックはそれなり頑張ってるし、雪国の雰囲気を味わえる

 

THE BAD

-ストーリーが凡、そもそも印象に残るエピソードや展開がない

-雪国である必要性を感じない、世界観を活かしてない

-そもそも主人公は誰なのか、描写が足りないし、感情移入できない

-成長要素を含む過去にRPGよくあることが少ない

-ピアノ曲しかないBGMは単調かつうるさくと感じる

ゲーム内容:POOR システム:STANDARD グラフィック&演出:STANDARD サウンド:POOR

POOR