先週許された永住申請に関して、申請当時では書類の一つとして、理由書を書かなければなりません。
この理由書は、他のことを参考することもなく、自分が考えたことをそのまま草案を書き上げ、そして会社の日本語レッスンの先生に目を通し、文法や言葉遣いの訂正してもらい、1年半そのまま法務部に提出したものです。
正直向こうはじっくりに読んだかどうかわかりませんが、どうせ書くなら真面目でやろう、自分の本当の気持ちを込めて一生懸命に書いた。そして、いつか申請が無事に通ったら、公開しようと思いました。
正真正銘、テンプレートから出来たものではなく、僕だけのための僕だけの理由書です。
なお、一部の個人情報は削除されており、全文ではありませんが、9割はそのままです。もうこの文章は「用済み」となってしまい、永遠に埋められる前に、自分の、少なくとも1年半の気持ちを赤裸々に公開します。
なお、長いので、続きを読むを利用します。また、1年半の事情なので、今ではやや異なります。
(序言略、名前を名乗るなどの自己紹介文です。)
単刀直入に申し上げますと、国家安全維持法実施後の香港はもはや自分の戻る場所がありません。今年3月とある香港留学生が日本から香港に一時帰国する際、フェイスブックの言葉だけで逮捕されるニュースを見て、ずっと恐怖と絶望感にさいなまれる毎日です。今の在留資格では将来のことが全く不明瞭なままで、より安定した生活を求めるため、そして日本社会に貢献するため、今回永住許可を申請することになりました。
3年前来日までずっと香港で暮らしてきましたが、小学生の頃から既に日本の文化に影響されていました。10歳の頃、ゲームがきっかけで日本語に興味を持ち、独学で日本語を勉強し始めました。そして日本語だけではなく、日本の文化や歴史まで調べました。日本に留学する機会こそなかったものの、インターネットの発展に伴い、中学の頃からすでに様々な日本人と交流し、日本で生活することに強い憧れを抱いていました。特に、初めて日本に旅行した際、日本人の親切さと勤勉さ、そして伝統を重んじる精神に心を打たれました。香港ではとある作家がこんなことを主張しました:「今の日本は中国文化の良いものを残し、悪いものを浄化した。一方、今の中国はその逆だ」、まさにその通りだと思いました。初めての来日でしたが、ものすごい安心感と親近感を覚えました。そして、まるで帰省のように毎年最低一回は日本に来るようになり、様々な場所で史跡を巡って、日本に対する憧れがますます強くなっていきました。
しかし、日本で生活するきっかけは、言うまでもなく3年前香港の「国家安全維持法」の実施でした。自分でも予想できなかった、まるで「政治難民」のようで、家族と別れ、一人で憧れのはずだった場所に避難してきました。長年の夢がやっと叶えられたはずなのに、香港の状況を思うと心境が複雑です。
今年1月7日の英フィナンシャル・タイムズ記事によりますと、イギリスで民主デモに参加した香港人が香港に戻る際に、警察からインターネットですら公開されてない写真を見せられ、「テロリストの疑いがある」と脅されました。そして今年3月、先程申し上げた香港留学生の逮捕事件が発生しました。できる限りネットでは本名を使わないこと、そしてデモに参加する際には顔を隠すつもりでしたが、それで本当に安心できるかどうか、誰も断言できません。外国に居ても知らないところで監視される可能性があり、最近では中国の秘密警察の存在が話題となりました。もしかして自分も既に標的になっていたのかもしれません。
幼少期からずっと、イギリスの価値観と倫理観で育てられました。そして日本の文化の影響もあり、民主・自由・平等・人権・論理的思考・信用が大事など、欧米や日本の普遍的価値に強く共感し、独裁や支配に関しては抵抗感を持っております。
そして中学生の頃には、真っ当な人間になるには論理的思考力が一番重要であると教えられました。論理的思考力を養うと、物事の本質を見極め、人生又は社会の問題を、正しい解決策を考えられるようになります。ゆえに数学専攻を選びました。実は大学に進学した際、すでに将来はIT業界に進むと決めていましたが、ITよりも数学専攻を選択したのは、IT の理論は独学や実践では何とかなるが、論理的思考力だけは適切に鍛えないといけないからです。そしてこの論理的思考のお陰で、現在の職場でも様々な問題を適切に、素早く解決できると評価されています。多国籍の職場環境においても、今年新設されたMVP賞のトップまで取得することができました。また、来日後も現状に甘んじることなく、日本語能力試験N1の資格を取得しました。さらに、日本のIT文化を理解すべく、日本人にとっても難易度が高いと言われる応用情報技術者試験を受験し、一度で合格することができました。まさしく、日本への理解と適応力、イギリス教育の理性、そして香港人の効率性が自分なりの強みだと自負しております。日本への高い理解力のお陰で、会社では営業職や管理職の日本人と、技術職の外国人の間の橋渡しを果たしています。これから更に発達するデジタルとITの時代、技術面では外国人に頼る状況がおそらく続くと思われます。この橋渡しとしての役割を今後も担っていきたいと思います。
ちなみに多くの香港人はイギリス移住を選択しましたが、自分の場合、日本文化に慣れ親しんできたことから、英語よりも日本語の方が得意です。また、イギリスに移住してしまうと簡単に日本に行き来できない点を考慮し、3年前日本で働くことを決断しました。また、親が訪ねることを考えると、イギリスより日本のほうが行き来しやすいのも理由です。
生活に関しては、今までの貯金で現住所の分譲マンションを購入しました。現職の年収は600万円で、一人暮らしには十分な額であり、貯金などを含め、今後も日本で安定して生活することは可能です。仕事に関しては、来日直後から現在の会社に勤務しており、今後も現在の仕事を通して、日本社会に貢献したいと考えております。来日してまだ3年ですが、適応力と行動力もあり、日本で自立して生活していくことに問題はありません。
香港は1997年に中国に返還され、最終的に中国のようになるのは薄々と覚悟していましたが、イギリスが残した大事な宝は、香港や香港人の価値観そのものであり、きっと守られるだろうと4年前までは信じていました。しかし、自分は中国共産党のみならず、自分の生まれた場所である香港にも裏切られる結果となってしまいました。
4年前香港の民主運動で自分が目にしたのは、政府は自分の既得権益と地位、中国共産党を喜ばせるために、平然と民意を踏みにじる暴挙でした。次第に警察や親中派が横行跋扈し、暴力を振るっても政府に守られるようになり、この歪んだ都市の真の姿を自分はやっと理解し、そして絶望しました。
やがて「国家安全法」という悪法が実施され、もはや論理的思考や民主主義など何の価値もなくなりました。明確なルールもなく、誰であろうと香港政府や親中派、警察の一存で「国家安全法」の疑いをかけられ逮捕されてしまいます。これはどれほど悍ましいことか。ゆえに自分が香港に帰ると、もしかして二度と日本を訪れられないかもしれません。香港は現状、まさに巨大な監獄と化した状態です。そして何より嫌なのは、今の香港は中国共産党至上の世界であり、論理的思考よりも「愛国愛党」、人権が無視されるような社会です。今まで自分が信じてきた価値観とは正反対の世の中になってしまい、完全に生まれた場所に裏切られました。
すでに帰る場所が無くなってしまった自分にとって、残された道は日本で暮らすことです。少なくとも日本では信じるもの、信じる価値観があります。いつかは帰化を目指すかもしれませんが、永住許可を取得すれば少なくとも在留更新許可申請の必要がなくなり、安心して日本で過ごせると思うからです。
近頃、少子化や若者の人口減少の問題がよく報道されています。外国人をたくさん受け入れることも、この問題を解決する一つの策ではないかと考えております。ITの技術者として、今後日本の発展に貢献できるように尽力していきたいと思います。これが自分としての、日本への恩返しと考えております。
香港が民主主義を取り戻すことを願って止みませんが、現状では難しいだろうと思います。ならば日本で一生懸命に働き、日本社会に貢献することが今の自分にできる唯一の生き方です。そのためにも、まずは永住許可を取得し、安定した生活を得ることが必要です。以上、将来のことを踏まえて、日本での永住を強く希望いたします。人権が尊重される社会で、真っ当に生きていきたいという願いです。
何卒、日本での永住許可を頂けますよう宜しく御願い申し上げます。