かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

真・三國無双8

レビューバージョン PS4 Pro v1.03

オープンワールドにしたらすごい、なんでもできるという誤解は、PS3時代海外では既に散々経験したが、まさか今となってコーエーテクモゲームスは再びそれを繰り返している。マンネリ化を打開するためにオープンワールドにしたことは確かに挑戦的で、やりたいことは理解できますが、結局技術か開発時間か、それとも根本的に開発者のセンスが足りなかったか、『真・三國無双8』の変革は全てにおいて中途半端で、マンネリ打破以前にゲームとしては失敗している。

アクションの変革は良い、一応中盤から敵はワラワラしているからそのへんは特に問題はない。しかし、このオープンワールド戦場は何一つ面白かったことはないのが致命的。さらに、AIが絶望的に無能、そして戦場の変化、イベントやミッションの進行が単調でつまらないのが最大の失敗であった。友軍はほぼ飾りと同然で、共闘感が全く無く、何もかもプレイヤーが全部片付ける必要がある。

確かに、以前の無双と比べるとスケールが大きくなったが、悲しいほどに味方も敵もあまり動かない。特にミッションなどは、おそらくオープンワールドになったからか、プレイヤーが介入するまでそのあたりの話は全然進行しない。ゆえに何もかもプレイヤーがやらないといけない、友軍などは空気と同然であった。しかし一度介入すると、友軍の進行が非常的にやっつけで、しかも一部のイベントはずっと見守らないといけない。いまだによく覚えたこと、定軍山の戦いで黄忠とともに山に登ったと、ミッションは成功したが、その後他のミッションをプレイすると、黄忠が前触れもなく突然敗走した。苦戦することすらなく突然の敗走であった。これほど役に立たない「友軍」は本当に初めて。また、敵もNPCも視界がとても狭く、視界に入らないと攻撃してこないし、設定された範囲から離れすぎると無防備のまま自分の場所に戻る。あまりにも馬鹿すぎるAI、城門を開けても友軍は城外で俄然動かず、もちろん昔よくあったみなで総大将わっしょい祭りは見られない。結局何もかも自分一人で片付けるしかないほどの無能であった。最初はすごい、スケールがでかいな!と感動したが、次第にただ単騎突入で目標武将を倒せば良いに気付き、単調・共闘感がない、広くなったがそれだけでほかは全て前作より劣化した戦場であった。

プレイヤーが介入するまでイベントは進行しないため、リアルタイム進行のイベントはほとんどなく、前作のような流動的な戦場はもちろんありません。たまに雑魚たちが「戦意を削ぐ!!」とかアピールするが、全く無意味でどうでもいいことである。

また、このゲームではキャラ別ストーリーなんですが、一部のキャラクターのストーリーが非常的に長く、終盤キャラクターをプレイしたくても、ほぼ解禁する前に飽きる。キャラ別だが、独自イベントが少なく、ほとんど共通ストーリーで、一部の武将は悲しいほどにひたすら他人のイベントを見るだけで、操作武将は関係なくとも無言のまま立てるだけ、これが所謂このゲームの「キャラ別ストーリー」です。そして戦場ではキャラのことは関係なく、ミッションや進行はほとんど同じ、独自なイベントとか全く用意されてない。つまり別のキャラクターで同じ戦場をやっても、ただ操作キャラが変わっただけとのこと。結局、90人のキャラ別ストーリーでは使い回し連続で、そのキャラクターだけ体験できることはかなり限られている。特に、一部の武将は所属勢力が変わるとエンディング、あるいはカット。例えば、夏侯覇が蜀に亡命した後の話はプレイできません。何のためにキャラ別なのか、結局やってることは7以下で、勢力別ストーリーより変化が少ないストーリー。これは全くがっかりでした。

オープンワールドになった途端演出面が劣化することは事前ある程度覚悟はしましたが、赤壁の戦い、まさか曹操が単騎で特攻してくるとは、これはさすがに唖然した。そもそも一番重要な戦いなのに、このようなやっつけ仕事とは何事か(赤壁の戦いで総大将が自ら単騎特攻するような馬鹿げな真似をするか!)。また一部のイベントではしっかりと書かれてるが、殆どのイベントは飛ばしすぎてついていけない。無双だからストーリーに関しては仕方ないだろと言われても、たまに詳しくたまに省略しまくりは逆に不自然である。諸葛亮と周瑜の荊州争いがなく孫尚香がいきなり劉備の嫁に、入蜀でいきなり馬超が仲間(なぜ入蜀できるかその原因まで省略)、北伐はいきなり馬謖が登山、全てが唐突すぎる。龐統・張飛の死はムービーまで用意されたが、黄忠などはいきなり死んだと言われたという、さらに一部では言及すらしない突然消えたという酷い仕打ち(魏延は相変わらず突然居なくなり、そして趙雲は無双の看板キャラのくせに死亡は全然言及されない)。死だけではなく、ほかのイベント進行もそうですが、人形劇まで用意したら、さすがにこの辺はもうちょっと真面目に描いてほしい。

オープンワールドで一番問題になったことは移動である。用意されたフィールドがあまり広すぎるため、目的地まで移動することは苦痛である。ファーストトラベルは用意されたが、一度行ったこと場所・自軍拠点のみファーストトラベルできるので、最初はとても苦痛である。この中国大陸は広い、広いがスカスカである。戦場に関係ない場所は山賊だらけである、あるいは虎などの珍獣しかない。この時代ではこの場所はこの勢力かな、と期待するなら残念ながらないである。そもそも敵の配置は最初からリアルではない。徐州の戦いでは曹操の本陣は北海で、孔融は存在しない扱いです。はいそういうやっつけ仕事だからまたしてもがっかりである。でも最大の問題はこのオープンワールドは広いだけでやれることがあまりない、スカスカで何もないと同然。依頼は用意されたが、2,3回やればわかる内容まで使い回しのくだらないもので、つまらない以上に報酬も大したことではないからやらなくても平気です。そうすると釣りと山賊狩りと移動しかやることないである。

本当にこのオープンワールド、良いことあまりなく悪いことだらけで、全く意味がない損しかない変革ですね。そう、まさしくPS3時代海外の勘違いオープンワールドゲームのようで、馬鹿広いだが中身は何もない。一世代遅れましたね…

アクションの変革は褒めたいところだが、使いやすい武器は限られてるので、一部の武将は前作より劣化した感が。そもそも今回敵の挙動がめちゃイライラする。よくガードするだけではなく超スピードでバックロールする。そのバックロールではかなりの距離を取れるので、攻撃がなかなか届かない事が多く、非常的に鬱陶しい。

ほかにも細い不満点が多く、たとえばBGMの切り替えが早すぎる、せっかくBGMが良かったのに殆ど頭に残らない、盛り上がらない。またオートランが全く使えないものであり、よく障害物にぶっつける。無双武将に遭遇するとわけわからないクローズアップ演出(ちなみに攻撃などを邪魔する)。全く使いみちがない隠れ家・友好度。拠点占領の報酬は箱を破壊しないといけないがその前に武将が自動的に武器を収めるから全く面倒。また、グラフィックも綺麗とはいえない、テクスチャの貼り遅れがとても酷い。場合によってはPS2以下のグラフィックに見えるから、最適化もかなり雑な出来です。

ほかにも、ゲームとは関係ないかもしれないが、董卓の棒読みが酷すぎる。7までは特に問題なかったのに、8では偽物にしか聞こえないほど、「やる気あんのか!」ほどの酷さ。司馬懿の声も微妙に気持ち悪い。この辺は面白さとは関係ないが、ストーリー演出をより一層悪化した原因でもある。

なんか悪いことしか無いだが、敢えて良い点をあげると、まあ一応これまでの無双よりも三国の話を詳しく描いた、一部では細いところまで拾った。また、今回では諸葛亮死後蜀側を初めてプレイできることで、北伐マシーンの固執と蜀の絶望感を体験できるのも新しい(ここだけは新しい)。ただここまで考えると、やはり呉滅亡まで描いてほしいわ、呉の絶望感も体験したい。一部の新キャラはなんで居るの状態ですし(辛憲英とか辛憲英とか、羊コは今回辛憲英がプレイアブル化のおかげで目立つモブになったが、やはりモブだから意味が無い)。

オープンワールドのためにシステムを革新したというか、その薄っぺらいオープンワールドのためにいままで無双の良かったことを全部捨てたこそ正しい。やりたいことはわからないでもないが、現状では中途半端で良いことが全く無く、逆に不満点だらけである。マンネリ打破は理解できますが、理想だけ目指して、オープンワールド=すごいと勘違いし、ユーザーの要望やこれまで無双の良いことを全部無視して、中途半端なものを仕上げることは、やはり致命的である。

ゲーム内容POOR システムPOOR グラフィック&演出POOR サウンドEXCELLENT

POOR