かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

うたわれるもの 偽りの仮面

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ファーストチャプター

自分がアクアプラスを知ったきっかけは他ではなくPS2版『うたわれるもの』だった。元々は18禁のエロゲームですが、PS2版では当然イケナイ場面はカットされたが、その内容と雰囲気は想像以上に魅力的だった。戦国乱世のようなシリアスシーンと、ギャルゲームのよくある日常をうまく融合した傑作。結果としてアクアプラスが好きになったし、その後も『ティアーズ・トゥ・ティアラ』のためにPS3をデビューした。

長い年月をかけて、ついに『うたわれるもの』の続編が発売されました。勿論事前では大変期待していた。前作では一応綺麗に終わったんだけど、その続きは果たしてどうなるか。同時に、傑作と評価された前作を超えるかそれとも蛇足になるか、そこが不安であった。

結論といえば、まだわかりません。なぜならば今回は本当の意味で、ただプロローグでした。もちろん、雰囲気と世界観、そしてキャラクターなどは前作そのままで、そこは一応期待通りなんですが、内容は良いどころでエンディングということで、「俺たちの戦いはこれからだ」エンディングです。正直前作は一応綺麗に終ったに対し、今回の「これからが本番です」という終わり方にかなり不満を抱いた。シナリオに関してはネタバレになるので、多くのは語らないものの、前作のシリアスと日常、バランスよく交替する展開に対し、今回では最初の20時間がほとんど日常がメインで、終盤で一気にシリアスという流れです。もちろんシリアスの話はとても面白くて、そこは期待通りだが、最初の20時間以上の日常パートは思ったよりもダルかった。確かにシリアス展開向けの伏線が多く、キャラの個性を作るために必要かもしれないが、その長さは必要以上でした。特に都に辿り着くと、お菓子ネタがあまり多すぎて必要性が見えない。またBLネタやアンジュのわがままは同じことを繰り返すだけで面白くない。おまけに最終の怒涛な展開では打ち切りエンディングみたいな感じで、どうしても納得できません。

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また、日常パートではキャラクターの個性を描くための存在であったが、序盤では必要以上に多いぶん、中盤からでは一切なく、そのせいで中盤から参入したヤクトワルトとシノノンの話はほぼありません。特にシノノンに関しては最後までも日常パートが無く、印象がとても薄い。これは残念であった。

日常パートのバランスは残念だったが、中盤からのシリアスパートは期待通りでとても面白いから、シナリオに関しては多少がっかりはあるがまあ一応は満足と思います。ですが、問題はシミュレーションパートです。

いつからかわからないけど、アクアプラスのゲームはほとんどスティング開発となっていた。スティングの悪癖か、それともこの会社の流儀か、難易度とバランスはどうしても極端な内容になる。『ティアーズ・トゥ・ティアラII』ではすでに不評を買いましたが、今回はどうも治ってない。

確かに『ティアーズ・トゥ・ティアラII』と比べたら難易度は多少簡単になってるが、極端なバランスは相変わらずです。遠距離攻撃が強く、近接キャラが死んでる、そして敵味方問わず紙装甲。結論としてこのゲームの戦闘バランスは「殺られる前に殺る」。イベントではとても強いに見えるオウギさんは、このバランスのせいで戦闘ではまったく役に立たず、ただの囮キャラとなってた。代わりにキウルや双子など遠距離攻撃メインのキャラは恐ろしい無双っぷりを発揮している。前作のバランスは適当だがそこまで極端ではなく、SRPGとしてもそこそこ面白かったが、今回のバランスは些か残念である。

またもう一つの問題は経験値の仕様です。これはこれまでのアクアプラス作品にはないが、今回だけなぜこんな仕様なのかよくわかりません。戦闘が圧倒的に少ないぶん、敵は当然足りないし、なぜかこのゲームでは敵を攻撃しても倒しても、手に入れる経験値は同じ。その代わりに初回クリアボーナスの経験値は異常に多く、結果としてレベルアップは戦闘ではなく、ステージの初回クリアボーナスがメインとなってる。1ステージでも出撃しなかったら、その差は挽回しにくい(大抵2レベルの差)。確かにクリアしたステージは何度でも再度チャレンジできるが、上記にも書いてあった敵が少ない以上、戦闘で手に入れる経験値はかなり限られてる。そもそも戦闘中でレベルアップなんて滅多にないから、それはとても辛い作業である。『ティアーズ・トゥ・ティアラII』はレベルアップに関しては上がりやすいからその辺に問題はないが、なぜ今回このタイトルがこの仕様を取ったか本当に不明です。特にこのゲームのSRPGパートはおまけだから、そこまで拘らなくてもいいでしょう。結局あまり出撃してないキャラのレベルが低いままで、終盤では使いものにならない。

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まあ不満点ばかりなんですけど、今回の連撃システムは良く出来ましたし、さらにキャラクターのスキルではちゃんと個性が出てるので、そこは良いと思います(オウギさんはともかく)。システムでは間違いなく進化はしてたが、肝心なバランスが悪いんですね…。

グラフィックについては、このメーカーは大手ではないから元々は期待してないし、違和感がないだけでまあ特に問題ないと思います。ただし戦闘中のカメラは自由回転できるようにしてほしかった。CGは相変わらずクォリティが高いから、満足はしています。音楽も良いと思います。

プロローグなんですから、正直評価しづらい。不完全燃焼だけど終盤の展開は一応面白かった。正直作品としての評価は続編次第ですから、今ではなんとも言えない。ただ、前作の傑作と比べると、今回だけではやはり前作を超えていません。なにせ、前作は一応ハクオロの話は”終わった”し、今回は何も解決してないまま唐突にエンディング。これは作品としてどうしても擁護できませんでした。

 

THE GOOD

+シリアスパートに突入するとグッと来る面白さ

+キャラクターはちゃんと個性が出てる、そして設定と世界観と雰囲気もグッド

+音楽とCGはハイクオリティ

 

THE BAD

-ただの前篇で、続編が本番エンディング

-そして序盤の日常パートでは同じ流れの繰り返す

-戦闘バランスが極端過ぎ

-経験値仕様が酷い

ゲーム内容:GREAT システム:STANDARD グラフィック&演出:POOR サウンド:EXCELLENT

STANDARD