かりんちゃんの随心遊戯日誌

ゲームの日記、たまに政治の話、香港の話

ドラゴンエイジ:インクイジション

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新世代RPGの新たな高み

面白いRPGとはなにか。これは割に複雑な問題で、答えも人それぞれである。でも、「ストーリー」、「キャラクター」、「音楽」、「雰囲気(グラフィック)」、そして「戦闘」。これらの要素はまず最低限と言えるでしょう。むしろ以上の要素さえ揃えば、面白いRPGということになる。PS3世代以降、RPGのクォリティが急激に下がってた、名作も生まれなかった。日本にしろ海外にしろ、以上の要素を全部クリアしたRPGはほぼなかった。『ファイナルファンタジーXIII』はストーリーが批判され、『スカイリム』ではキャラクターが魅力的とはいえない。日本では萌えRPGが蔓延し、かつて雰囲気良く、壮大、そして王道的なRPGがどんどん死滅していく。そんな中、BioWareが新世代の王道RPGを送り出した。『ドラゴンエイジ:インクイジション』は、見事に王道的なストーリーを壮麗なグラフィックで表現した。魅力的なキャラクターと素敵な音楽を揃い、ドラゴンエイジシリーズで定評ある戦闘システムを流用し、前作の悪評を吹き飛ばした傑作です。もちろん、シリーズ作の続編であり、システム自体もわりに人を選ぶゲームではあるが、王道的なRPGが好みであれば、誰であろうときっとこの作品に魅了されるだろう。

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西洋RPGなので、少年少女の物語ではなく、大人向けのRPGなんです。専門用語は割に多く、前作をやらないと一部の話は微妙にわからない。解説は一応用意されたが、和訳のクォリティはわりにどうしようもない。その辺は確かに残念ではあるが、ゲームを始めたらすぐゲームの世界に魅了される。「ロード・オブ・ザ・リング」のような世界観でRPGがしたい!という人には、特にお勧めです。間違いなくたまらないんだろう。グラフィックはめちゃくちゃ綺麗とは言えないものの、ファンタジー世界の雰囲気を見事に表現した。ロケーションではかなり作りこんでいて、歩くだけでたまらないこともあります。完全なオープンワールドではないが、フィールドはそれぞれとても広く、高低差もあり、様々な風景は、眺めるだけで思わず「絶景だな」と感嘆してしまう。PS4の性能のお陰で、テスクチャはくっきりに、綺麗に表現され、光と陰影の表現が最高といえるだろう。グラフィックは満点ではないものの、雰囲気は満点ではあった。ずっと待てたんだ、こんな素敵な世界で探索をするゲームを。『スカイリム』はとても広いではあるが、似たような場所ばかりなので、正直探索はあまり面白くないが、このゲームは飽きません。散歩するだけでも楽しい。

しかもフィールドだけではなく、ストーリーのイベントまでも、この壮大な雰囲気を体験できるという。『スカイリム』ではストーリーは全編を通じてただ話し合いだけで、イベントカットシーンも用意されてないが、こちらはしっかりに表現した。ヘイブン襲撃、スカイホールド引っ越し、グレイ・ウォーデン戦、そしてラスト。全ても専用イベントシーンが用意され、雰囲気も最高であった。特にスカイホールド引っ越しは、恐らくここ数年で見たゲームイベントで一番と思いますね。「このRPG本当にずっと待っていた!」と思わず叫びました。正直このへんは傑作と呼ばれた初代作品『ドラゴンエイジ:オリジンズ』よりも素敵と思います。ここ数年で失われた重厚なRPG世界は、この『ドラゴンエイジ:インクイジション』で再びよみがえる。

もちろん雰囲気といえば、グラフィックだけではない。音楽も最高だ。何度もタイトルテーマを聞くだけでタイトル画面を放置してる、そうタイトル画面の音楽を聞くだけでな。もちろんタイトル画面だけではない、ゲーム中のBGMはどれも素敵です。見事に雰囲気を再現した音楽ばかり、この王道RPGを更に一層昇華させていく。また、酒場の詩はどれも綺麗で、何度聞いても飽きません。冒険に疲れたら酒場に行こう、というRPGではよくある伝統は、このゲームではこういう形(詩を聞く)で再現される。いいえ、むしろこれこそ酒場のあるべき姿であろう。もちろん前述のスカイホールド引っ越しでも、音楽は最大の貢献者である。ジゼル、レリアナ、カレン、そして同行者が一緒に唱う「The Dawn Will Come」。敵に追い込まれた絶望的な状況で、みなが一緒に歌う、お互いを励ます。名作で名シーンで名音楽です。

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キャラクターデザインはかなりバタ臭い、しかも日本のRPGと違って変な仲間だらけだが、みな個性的です。しかもそれぞれはかなりの量のキャラクターイベントが用意され、これらを消化しに行くと、どんどん彼らの魅力を感じる。最初は「ブサイク」と思ったセラは、なぜか愛着をわく、言葉も面白いと思います。頭が硬そうなカサンドラちゃんは、キャラクターイベントで可愛い一面が発見され、どんどんツンデレ化にしていく。ほかのキャラクターも、イベントは笑いがあり、シリアスがあり、涙もあり、非常的に楽しく、いつの間にか最初に感じた「バタ臭い」が消えてしまう。開発者は「ペルソナ」を参考したとインタビューでコメントしたが、どうやら本当ですね。台詞が多い、会話を楽しむゲームで定評のある「ドラゴンエイジ」、本作で更にすごいことに。海外の開発者はいつも「日本のゲームを参考した」とコメントしたが、Biowareはたぶん嘘を付いていないんですね。少なくともカサンドラの本に関するキャラクターイベントは、洋ゲーにしては本当に珍しいという。

本作の本編は短いが、寄り道が非常的に多い。キャラクターイベントはもちろん寄り道の一つだが、それ以外でもやれることはたくさんある。探索するとクエストがどんどん増えていく、パズル、ドラゴン狩り、要塞攻略、様々な収集要素がたくさん配置されて、本気で全てをやり尽くすと、本当の意味で100時間以上かかるほど。これほどのボリュームは、最近では珍しい。もちろん作業系やお使いは割に多いが、探索があまり苦痛ではないから、ついつい淡々とやってしまう。しかもファストトラベルが多数用意されており、馬なども用意される(あまり速くないが)。あるいみ本編を進むよりも、様々なフィールドで探索するゲームです。とある問題を発見すると、拠点に戻り、作戦会議を開く打開策を用意し、さらに探索する。あるいみ開拓者みたいな感じで、そういうゲームが好きなら、本当にお勧めです。

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そうそう、このゲームのドラゴン戦は本当に迫力満点でした。最近のドラゴンはなんか威厳が無くなったが、このゲームで再度ドラゴンの恐ろしさを体験出来ました。このような”狩り”はやはり据え置きで、相当なグラフィックでないと臨場感がないと再認識。やはり、「狩りゲー」は据え置きの大画面でやるほうが、一番熱いんですね。やっと倒した!という成功感は、半端無いんですよ。

では、このゲームの戦闘はどうなんだろう。RPGではやはり戦闘の役割が重要です。勘違いしないほしいけど、このゲームは決してアクションゲームではありません。なので『ドラゴンズドグマ』と比べると不公平です。どちらから言うと、『ディアブロIII』を3D化にしたものなので、あるいみ『ファイナルファンタジーXII』やMMORPGの戦闘を、ちょっとだけアクション要素を入れた感じ。なので、アクションよりもコマンドバトルに近い存在です。ですが、このゲームはただ連打するだけではいけません。「ドラゴンエイジ」シリーズは、戦闘が戦略的と定評があるので、今回では仲間への指示コマンド(行動パターン)が簡略化されたが、キャラの切り替えは可能で、しかも戦闘中で行動をポーズし、味方と敵の配置を確認し、仲間それぞれの取るべき行動をそのままコントロールできます。低難易度では温いけど、高難易度では的確な指示と操作が必要なので、それはこのゲームの魅力です。もちろんキャラの役割は大事。盾役、攻撃役、牽制役、パーティーの組み合わせは重要なのです。そしてキャラクターの成長とスキルによって、戦略も大きく変わる。誰を連れて出すか、ただ同行者の対話を楽しむだけではない、ちゃんとバランスを考え、これからの戦闘や敵を想定し、適切なパーティーを選択が必要なんです。やや面倒くさいが、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、そういうゲームなのですね。まあ戦闘については確かに2のほうが面白かったが(2は比較的にアクションに近い)、これもなかなか悪くない。いつどこでも戦闘をポーズできるし、ゆっくりに戦略を考える、そういう人には最適かと。むしろアクションと期待している方は、このゲームにはがっかりかも。ただ、レベルアップすると、スキルを取ると、本当にちゃんとどんどん強くなったと実感できるので、そのへんは良かったと思います。まあ、魔導騎士は強すぎなんですけどね(アサシンはもっと強いと聞いた)。

このゲームは『スカイリム』ほどの自由度がありません。ただし、素材を集めて、自分で武器や防具を作ることが可能です。むしろそのへんは『スカイリム』よりバリエーションが豊富かもしれません。武器は素材によって、ちゃんと違い効果が反映されます。レアの素材はもちろん強い武器や防具を作れますが、同じレア度でも違う効果が出てくる。また、武器と防具はさらに強化することができます、そしてエンチャントは勿論健在です。とりあえず、自分だけ作れる武器と防具は、このゲームでは可能です。作成した武器や防具の名前は変更できるので、ぜひ厨二病全開しても構いません。まあ、武器防具作成の自由度が高すぎて、宝箱の武器や装備はあまり役に立たないこともあるが、ユニーク武器はちゃんとそれなりの強さがあるので、それはそれでいいでしょう。

正直ここまで完成度が高い、そして重厚なRPGに出会えて、本当にBioWareにありがとうと言いたいんです。『スカイリム』ではどうしても気に入らない盛り上がらないストーリー展開と、一人だけ冒険する寂しさ。このゲームは仲間がいると探索がどれほど楽しいか、まったく違う世界なんです。そして中盤の展開が盛り上がり、スカイホールドの引っ越しでは本当に感動しました。望んだファンタジー世界、どこまでいけますねえというファンタジー世界がこの手で遊べるという感動、本当に「オリジンズ」よりも素晴らしいんです。むしろ今までやったRPGで、最も満足度が高い作品なんです。雑なバグや雑な翻訳は残念でもあるが、この壮大なボリュームと圧倒的な空気感は、そんなのもはやどうでもいいんです。間違いなくここ最近RPGの最高峰と言える作品。こんなもの遊んだら、なんか『ファイナルファンタジーXV』も大したこと無いと思ってしまった…。

これから、これを超えるRPGが本当に出てくるんだろうか?

 

THE GOOD

+ボリュームが満点、終りが見えない

+ファンタジー世界の雰囲気を見事に再現した

+仲間イベントはかなり多めに用意され、しかも内容は濃い

+音楽は完璧である

+西洋RPGとしてはストーリーを重視してる、イベントなどはしっかりに再現されてる

+武器の生産やカスタマイズの自由度が大きい

+ロケーションの作り込みが素晴らしい、しかもフィールドは広い

+仲間は魅力的、台詞は多い会話は楽しい

+スカイホールドの引っ越し

 

THE BAD

-雑なバグが割りに多い

-世界観は壮大だが、雑な翻訳のせいで台無しになった

-戦闘の指示が簡略化された

ゲーム内容:30/30 システム:30/30 グラフィック&演出:17/20 サウンド:10/10 ボーナス:8/10

95/100

ドラゴンエイジ:インクイジション (通常版)

ドラゴンエイジ:インクイジション (通常版)